電気神楽による現在のプロジェクト

略歴

2016 年にフランス人作曲家AXL OTL(アクセル・オトル)と、2人の日本人、ダンサーICHI GOと美術家生谷幸大の3人によってベルリンでELEKTRO KAGURA〈電気神楽〉を結成。同年、シアター、ギャラリーなどの多様なスペースで、ベートーヴェン交響曲第7番第二楽章のオマージュを発表。ベルリン発のLo-Fi、コンセントがあればできる身軽さと、日本の祭りに触発されライブにこだわった、コンテンポラリーダンス、エレクトロ音楽と手書きアニメーションが三位一体となり、観客側から好リアクションで出発する。現在に至るまで、古事記を現代の視点から解釈した”Ikutani SAN(参)”を、拠点とするベルリンのほかにロンドン、ブダペスト、ラオス、ニューヨークで発表。2020年以後は”NEW KOJIKI”と改め、演出をさらに磨いたものをベルリンのパフォーミング・アーツ・フェスティバル、ベルギーで公演予定。

第二作品として、2020年1月、詩人ゲーテの魔王を、木に宿る女幽霊として日本的な視点から描いた”Erlkönigin-女魔王”(2017年ベルリン・フンボルト図書館初演)を東京在住アーティストたちと共同で再演出し、東京ゲーテ・インスティテュートで再演。短期決戦ながら、参加者たちの確かな経験値と結束力に裏打ちされた、ベルリン発アーティストらしい生々しさや活気が、ピナ・バウシュにもゆかりあるドイツ会館という晴れの舞台で、互いに鼓舞し合い、新鮮さを刺激し合うことができた。

2019年には、ダンス、音楽、映像のみに限らず、コメディー、演劇、ミュージカル要素を取り入れた新作 ”DIE WÜSTENWITTWE (砂の妻)” を総合舞台芸術としてベルリンで発表し、物語に対する新解釈、新たな表現手法に挑戦し、ベルリン自由大学ベアーテ•ボンデ教授から「ベルリンは彼らのような才能に溢れた若いアーティストが住んでいる事を大変喜ばなければならない。」と高い評価を受けた。

電気神楽について

電気神楽は、第二の芸術黄金期を迎えようとしている国際都市ベルリンを拠点に、古事記の天岩戸隠れで初めて登場する神楽(祭り)を、最も要となる器(媒体)、原型モデルとするコレクティブ・グループである。

それは、私たちが目指すものが形式、儀礼が確立する以前、原初の素朴で純粋な動機に想いを馳せ、空想し、パイオニアとしての先人の芸術家達への尊敬を込めて、神話や古典という過去から未来を写す“鏡”と向き合い、磨き上げることを意味する。天宇受売命(あまのうずめのみこと)と八百万の神々が体現した、民主主義的な過程を経たユーモア溢れる解決策を講じた古代の神々を教訓とし、私たちに残された、切実なテーマを探り、あらゆる視点から光を当てて、垣根を越えて国際的に交流し、発信して行く。その創作的行為を通じて変化の激しい国際社会、現代人が必要としている文化的欲求に応え、社会が抱えている閉塞感や問題を、打ち破る事を志している。なぜなら、強烈な個性を発揮しつつ、集団として調和する八百万の神々の姿は、西洋の個人主義ならびに、集団に同調し過ぎる日本に対して、未来の社会の在り方を切実に示しているように感じられるからだ。

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